先日、銀行の相談窓口には深刻な表情の中年男性が座っておられました。おそらく資金繰りの相談なのでしょう。休業と資金繰りについて、税理士の神佐真由美先生(https://mijikanazeirishi.tkcnf.com/free2)がメールマガジンでわかりやすい情報を発信されています。「転載は大歓迎」とのことですので以下転載します。転載部分以外にも有益な情報がたくさん載っていますのでメルマガを読まれると有益だと思います(https://mail.omc9.com/add/JaJ8/m/1223682/02Et34)。
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1.休業すると資金繰りはどうなるの?
今できることは? 新型コロナの影響で、一時的に休業をせざるを得なかったり、規模を縮小して営業しないといけなかったりと、日々変わっていく状況から、経営判断が必要になってきますね。 しばらく影響が続くと思われますが、一度休業すると、いつ再開するかの判断がまた難しい。 とはいえ、働く人を感染リスクにさらすわけには・・・ と思い切った決断をされる事業者さんもいらっしゃいます。 また、医療関係や介護関係など、休業できない、感染者を出せないと踏ん張らざるをえない事業者さんもあります。 皆さん、それぞれの場所で、絶対の正解がないなか、判断を迫られているように思います。
こうやってメルマガを出したり、情報発信していると、ありがたいことに、いろんな情報をいただけます。 先週は、仲良くさせていただいている社労士さんと、オンライン情報交換。ありがたかったのが、「雇用調整助成金」の考え方です。 人を雇っていて、休業、あるいは一部休業をせざるを得ないとき、労働基準法では、雇い主は、賃金の6割以上を休業手当として支払う義務があるとされています。 6割以上であって、6割でないといけないわけでもなく、10割支払うことも可能で、支払った休業手当の9/10(解雇をしない場合)を上限8,330円/日で受給できるのが、雇用調整助成金の特例です。(略して、コチョウキン、と呼ぶそうです)
解雇をしない場合は、支払った休業手当の9/10相当分(上限8,330円/日)の受給が可能。 解雇をする場合は、本当はもらえないのだけど、今回の特例では、4/5で受給できると。融資を申し込むにも、人件費の支払い額と、助成金で補填できる分とを織り込んで、資金繰りを慎重にみていく必要があります。
資金繰りをみていくなかで、おさえておきたいことを、質問ベースでまとめました。 (わかりやすさを優先し、詳細事項を省略して書いています)
・休業する場合、従業員さんに、いくら支払ったらいいの?
やむを得ず休業する場合に支給しないといけない休業手当は
休業日数×【平均賃金】×60%
で算出します。
この【平均賃金】は、
①3カ月間の賃金の総額÷3カ月間の暦日数 ②3カ月間の賃金の総額÷3カ月間の労働日数×60%
で計算された高い方になります。
月給30万円の従業員さん。賃金締切日が末日で、4月11日~20日の休業をしたケース。 (11日~20日のあいだの出勤予定日は6日とした場合)
1~3月の月給総額は 30万円+30万円+30万円=90万円
1~3月の暦日数は 31日+29日+31日 = 91日
1~3月の労働日数は 20日+21日+22日= 63日
① 90万円 ÷ 91日 = 9,890円
② 90万円 ÷ 63日 × 60% = 8,571.42円
①>②なので①を採用
① 休業日数 6日間 × 9,890円 × 60% = 35,604円
この金額が休業手当として支払うべき金額となります。 もちろん、これを越える金額を支払ってもOKです。
・で、休業した場合、雇用調整助成金はいくら申請できるの?
ここで注意! 個別に支給した休業手当に、単純に助成率をかけた金額が支給されるわけではありません! (35,604円 × 4/5 や 9/10 ではありません!) 助成額は、毎年7月10日までにおさめている労働保険の雇用保険料を計算する賃金ベースとなります。また、対象労働者 8,330円/日が上限となります。
厚労省HPでにある【 様式第5号(1)、(2)(新様式特第7、8号) 支給申請書(休業等)、助成額算定書】で計算ができます。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyouchouseijoseikin_20200410_forms.html
雇用調整助成金は、
支払う金額のベース(直近3か月分の平均賃金) と
支給を受けられる金額のベース(雇用保険料を計算する賃金)が異なることが注意です。
・雇用調整助成金はいつもらえるの?資金繰りはどうなるの?
助成金は(補助金もそうですが)、こちらが負担した【事後】、1か月ごとに申請し、もらえるものなので、常に先払いとなります。今回の雇用調整助成金は、多くの申請が見込まれることから、申請して受給まで1か月以上はかかると言われています。また、休業していても、社会保険料の負担はあります。 受給までのタイムラグを織り込んで、資金繰りを読む必要があります。 助成金を見込むとしても、先に休業手当を支払わなければなりませんから、融資を受ける検討ももちろん必要です。
まずは、昨年の労働保険申告書を参照して、助成額算定書で、受給できる金額にあたりをつけて従業員さんにいくら支払うかを考えてもよいかもしれません。 今回の雇用調整助成金に限っては、休業計画の後出しが可能です。 日々変わる情勢を見極めて、判断していく必要があります。 当然ながら、社労士さんには相談が殺到しているようです。
まずは厚労省から情報を取りに行きましょう。
雇用調整助成金(雇用保険に入っていない方向けの助成金についても更新されています) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
様式ダウンロード https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyouchouseijoseikin_20200410_forms.html
資金繰りを見ていくにあたり、他にもできそうなことは・・・ ・
家賃の交渉をする ダメ元かもしれませんが、国土交通省の要請を材料に、交渉してみてもよいかもしれません。
国土交通省から、飲食店等のテナントの賃料の支払いについて柔軟な措置の実施を検討するよう、要請がありました。 http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo16_hh_000201.html
・24日補正予算案が通ったら、持続化給付金の申請をする 個人事業主最大100万円、中小企業最大200万円の給付金。4月最終週から申請ができる模様です。
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/kyufukin.pdf
などが挙げられます。 他にも、納税猶予も発表されていますが、いずれ払わなければならないものなので、一括引き延ばしは返ってしんどくなるかもしれません。半年くらいでの分割納付の交渉は有効だと思います。(快く応じてくださいます) 当面のことに目処をつけ、今後のことを考える時間をつくっていきましょう。
3.お役立ちリンク集
経産省 新型コロナ対策支援メニューのパンフレット
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf
※持続化給付金(個人事業者最大100万円・中小企業最大200万円の給付金) 24日に補正予算案が通過すれば、ほどなくして申請が開始される模様です。
経産省 新型コロナ対策支援メニューのLINE公式アカウント
https://page.line.me/meti_chusho
厚労省 雇用調整助成金 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
Facebook コロナ支援・訳あり商品情報グループ https://www.facebook.com/groups/248092736319363 賞味期限切れ、在庫を抱えて廃棄しなければならない。 廃棄するくらいだったら訳あり価格で販売したい。 そんな方々の救済グループです。 お役に立てる方がいらっしゃったら、教えてあげてください。
神佐 真由美
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(丹波市 弁護士 馬場民生)