地方にある裁判所(支部)の体制が不十分で利用しにくいため、弁護士会が裁判所支部の人員等の充実を求めています。これを支部問題と呼び、丹有法律事務所のブログでも
「裁判官が足りない」
として紹介しました。
あるDV事件で支部問題の深刻さを実感させられましたので支部問題を再度取りあげます。
DV事件を受任すると、接近禁止等の保全命令を申し立てることがあります。DV被害者への接近禁止を裁判所が命ずるのです。この命令に反してDV被害者に接近すると、警察によって逮捕されてしまうので、DV被害者にとっては非常に心強い制度といえます。
接近禁止等の保全命令には迅速性が求められます。何か月もかけて審理されてはその間に何が起きるかわかりません。
ところが、私が最近申し立てた保全事件では、申し立ててから命令が出るまでに実に23日間(3週間以上)を要したのです。あまりに時間がかかりすぎです。
どうしてこのようなことが起きるのか。いくつか理由がありますが、そのうちの1つが支部問題(裁判官が支部の裁判所にいる日が限られる)です。
申立人と裁判官の面談は、申立日から4日目、相手方との面談が16日目(この日しか予定が空いていなかったらしい)でした。面談可能な曜日(開廷日)が限られているために、面談の予定を入れるのも容易ではありません。
審理の終盤(20日目、三連休後の火曜日)、私は担当裁判官と電話協議をしています。この日、裁判官は支部(柏原支部)ではなく別の裁判所(尼崎支部)におられました。審理の進め方への不満や法解釈上の見解の違いから苛立っている私(馬場)に対し、「今度、柏原支部に行くのは木曜日なので追加の主張書面はその時までで構いません。」と裁判官は言われました。「裁判所は異なりますが、夜中まで待つので今日中に書面を提出してください。今日中に判断を出しますから。」との裁判官の回答を私は期待していたのですが見事に裏切られました。
最終的に保全命令が発せられたのは、その週の金曜日でした。相手方へ送達されたのはその翌週の月曜日(26日目)です。送達されなければ保全命令の効果が生じませんので、実質的には申し立ててから成果を得るまでには26日間もの期間が経過しています。26日間です!!
重大な結果が出なければ、裁判所は変わらないのでしょうか。支部問題の解決は急務です。
(丹波市 弁護士 馬場民生)